日本移植者協議会2006年活動予定詳細


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厚生労働省へ要望書提出
2006年4月13日(木)


臓器移植患者団体連絡会では、4月13日(木)毎年2回行なっている厚生労働大臣への要望書を提出し、各担当部署との交渉を行なった。

交渉の内容としては、(5)政府管掌保険の保険証カードに記載欄を設ける件では、長年の我々の訴えが漸く実現し、現在書式について検討中とのこと。

4月下旬からインターネットによって1ヶ月間パブリックコメントを広く募集し、今年度後半から実施するとのこと。800万枚ほどが更新の予定。

(8)の全ての移植者に対する障害者の認定は、いつもながらガードが堅い。現在、厚労省の研究として「障害者障害認定基準適正化に関する実証的研究」を行なっているとのこと。肝臓移植者については、今後は、移植者だけでなく肝臓病の患者からも積極的に内部障害者への認定を働きかける必要がある。

(9)の年金については、1年の見直しを3年にと強く要求したが、そのことについては、障害年金の支給資格の見直し中で検討して行くとのこと。

こちらから現状でも1年以内での支給停止になった事例もあり、判定基準の周知徹底をするとともに、総合的判断とのあいまいな基準のために、都道府県の格差が大きく、反対に支給停止にする理由付けに使われているので、何らかの内規が必要なのではないかと指摘した。

(10)の医療保険については、これも我々の長年の要望が漸く実現できたことを喜ぶとともに担当者へも謝辞を述べた。

ただしなぜ生体肺移植と生体膵移植と膵島移植が外されたのかと問うたところ「生体肺移植には2人のドナーが必要であり提供後、肺機能が再生することがなく、委員から倫理面で問題があるとの発言があり見送られた。生体膵移植と膵島移植は、高度先進医療にもなっていないのでとの回答があった」生体移植は肺移植に限らずドナーへの負担があるが、我が国の現状ではやむを得ないことで、特に肺移植は脳死移植のなかでも提供が難しい臓器であり、一日も早く保険適用をして欲しいと強く要望した。生体膵移植と膵島移植についても出来るだけ早く、高度先進医療を認めて欲しいと要望した。

また肝移植において岐阜県のみが保険適用(ミラノ基準)外の肝臓移植者と海外での肝臓移植者に関して術後の保険適用を拒否していることを指摘した。この件については、早急に保険局医療課が調べて回答するとのことであった。

長年要求しているB型肝炎治療薬ヘブスプリンの保険適用については、近々申請がなされるとのこと。他の適用外使用についても申請がなされれば、そのつど対応するとのことであった。

(11)免疫抑制剤の薬価引き下げについては、今年も一昨年同様に行なっているとのことであったが、詳しい資料の提出を担当課に求めた。

(12)の人工心臓ノバコアの保険適用拡大についても、ネットワークの登録が終わるまでに悪化するケースも多く、その実情を細かく話し、何らかの形でネットワーク登録前の使用にも保険適用を認めて欲しいと要望した。

今回の交渉では、提供施設への働きかけやルール作りについては、まだやらなければならないことがまだ多々あり、今後取り組んで行く。その他、ここにはないがインターネットによる意思表示の登録などを含み厚労省として出来ることは、ここ1年間かなり実現してきたことは、多いに認め評価した。

我々としては、厚労省の臓器移植を進めるとの強いメッセージだと思っている。それ故、議員立法としての難しさはあるが、厚労省として臓器移植法の改正に、より積極的に国会議員へ働きかけをして欲しいと要望した。少なくても側面からの援助射撃は、して欲しい。

臓器移植に関わる要望

 

1,臓器移植法は、条文で3年をめどにみなおすと記されているのも関わらず、既に8年6ヶ月を経過しています。速やかに厚生労働省としても生前の本人の意思を尊重しつつ、本人が提供拒否の意思表示がないときは、家族の同意にて提供できるように臓器移植法の見直しに積極的に関与してください。

2,厚生労働省は、臓器移植医療の推進を国の施策として充分な予算処置を行い、脳死及び臓器移植について国民に理解を得られるよう、マスメディアをはじめ、あらゆる機会を通じ積極的かつ継続的に普及啓発活動を行ってください。

また地方自治体が積極的に移植啓発活動を行うよう強力に指導してください。

 臓器移植の普及啓発はまだまだ不十分です。一昨年の内閣府の世論調査でも80%の方が臓器移植

 に関する情報が不足していると回答しています。

3,各都道府県の移植コーディネーターを専任とするとともに、日本臓器移植ネットワークコーディネーターと連携し都道府県の枠を超え活動できるようにしてください。また提供病院の院内コーディネーター設置など、体制整備を都道府県が積極的に行うよう強く指導してください。

4,救急救命等の提供施設において、臓器提供可能な患者が発生した場合、家族に対し必ず提供意思の有無を確認することを制度化してください。現状においては、少なくとも意思表示カードの所持の有無を確認するよう強く指導してください。

5,より確実に臓器提供の意思を活かせるように、提供意思登録制度の充実を図ってください。また現行の意思表示シールではなく健康保険証または、カード及び運転免許証に提供意思を記入できる欄を設けてください。

 インターネットによる提供意思の登録を広く周知してください。

 政府管掌保険や国民健康保険については、カード化にともない意思表示記入欄を設けてください。

運転免許証に意思表示記入欄を設けるよう警察庁に働き掛けてください。また欄ができるまでは運

転免許交付時に、意思表示シールと説明パンフレットを必ず配布するよう警察庁に働き掛けてください。

6,少・中・高の学校教育に臓器移植を取り上げるように文部省に働き掛けてください。

7,臓器提供の意思を生かすためにも臓器提供施設を拡大してください。また脳死判定を支援するチームを派遣できる体制を作ってください。
また一般の信頼を得るために臓器提供施設においては、医療従事者の増員を行うなど救命救急医療の充実を図ってください。

 提供施設の拡大にあたっては、新たに審査認定を行うなど具体的な施策を実行してください。

8,身体障害者福祉法を改正し、全ての移植者を内部障害者として認定してください。

肝臓移植者は、障害者として認定を受けていません。術後も保険外治療も多く医療費負担のために、生活にも困窮している肝臓移植者が数多くいます。内部障害者に肝臓やその他の移植者も全て認定してください。

9,移植者に支給されている障害年金を少なくとも3年間は無条件で継続してください。また移植者の障害認定にあたっては、合併症などを含め総合的に判断することを周知徹底してください。

1998年5月28日の全国腎臓病協議会と厚生省との折衝において腎臓移植者について移植後3年間は、支給停止にしていないとの回答をしながら、2002年の認定基準でその他欄に「臓器移植の取り扱い」の項目をもうけ、突然「移植後1年間は支給停止にしない」と変更しました。移植者の身体の状態は、術後すぐに安定するわけではありません。合併症も少なくなく、精神的にも不安定な状況が続きます。また約3分1は移植直後、無職の状況です。以前同様に障害年金を移植後3年間は無条件で支給継続してください。

10,全ての移植医療に健康保険を適用してください。

 本年4月より、脳死下での臓器移植に健康保険が適用されるようになりましたが、生体肺移植や

 膵臓・膵島移植などは健康保険が適用されていません。

 一日も早く全ての移植医療に健康保険の適用を認めてください。

 B型肝炎治療薬として広く使用されているヘブスブリンなど、移植後服用する薬剤は、健康保険適

 用がされていなかったり、適用範囲が限定されています。移植者に高額な薬剤費を負担させること

 がないよう、速やかに保険適用の範囲を広げてください。

11,免疫抑制薬剤の薬価基準を見直し、引き下げてください。

 移植者は、免疫抑制剤を一生飲み続けなければなりません。最近では、制度の変更により毎年のよ

 うに移植者の自己負担額は、増加しております。他の薬剤に比べ著しく高い免疫抑制剤もあります。

 免疫抑制剤の薬価を引き下げ、移植者の負担を減らしてください。

12,昨年から保険適用が認められた体内埋込み型左室補助人工心臓ノバコアを、日本臓器移植ネットワーク登録前に使用する際にも保険適用を認めてください。

ネットワークに登録するまで保険適用が認められないために、登録前の重篤な患者さんは国循型の体外型を使用するしか方法がありません。また埋込み型を使用する場合は、登録後再手術を必要とします。ノバコアをネットワークへの登録の有無で差別することなく症状によって使用できるようにしてください。

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